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~2030年を見据えて“オール東京”で臨む「行政サービスの変革」~「東京DXネクストステージキックオフイベント」のイベントレポートを掲載しました!

2023年9月11日、GovTech東京は「東京DXネクストステージキックオフイベント」を東京都デジタルサービス局と合同で開催しました。

小池百合子東京都知事より、オール東京のDXを次のステージへ押し上げるための新たなビジョン「東京デジタル2030ビジョン」を発表し、GovTech東京理事長を務める宮坂学東京都副知事よりGovTech東京のビジョン等について発表しました。

イベントの後半には区市町村の代表の皆様をゲストに招いたトークセッションを実施しました。

サービスの変革で重要な「トランスフォーメーション」の徹底

小池知事が、冒頭のプレゼンテーションでオール東京のDXを次のステージへと押し上げる「東京デジタル2030ビジョン」について、語りました。

日本の少子高齢化や人口減少、労働力不足などの問題は「公務の担い手不足」にもつながる一方で、行政に対する都民や事業者のニーズは社会の成熟化によって「複雑化・多様化」しています。

そのため、これまでと同様のやり方をやっていては、行政サービスの向上や水準の維持も難しくなってしまいます。

都民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高め、東京の魅力を上げていくためには、サービスの変革に果敢に挑戦していかなければなりません。 その変革で重要になるのが「トランスフォーメーション」の徹底です。

これまでのDXではどちらかと言うと、“D”の方に重心が置かれていましたが、これからは、“X” トランスフォーメーションをしっかりと行っていかねばなりません。

せっかくデジタル化を進めても、トランスフォーメーションしていかなければ、肝心の価値や効果が出てきません。

デジタルを前提として、サービスの仕組み自体を抜本的に見直し、“D”と“X”のセットで進めていくことが大切です。

デジタルには「スピードアップ」、「スケールアップ」、「クオリティアップ」といった力があります。このデジタルの力を最大限発揮するため、都が牽引役となり、新たな発想のもと、“オール東京”で変革に挑んでまいります。

“オール東京”で挑戦する「3つの変革」

サービスの変革によって、オール東京で目指すもの、それは人が輝く、一人ひとりが輝く社会です。

一人ひとりに最適化されたサービスを行政の垣根を越えてタイムリーに届けることで、都民の生活の質、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めていきます。

東京が目指す、変革のポイントは3つ。

「プッシュ型」、「垣根を越える」、「顧客最適化」という3つの変革を軸に取り組みます。

1つ目は、プル型からプッシュ型への変革です。

現状は利用者が自らサービスを調べて行政に申請する流れのものを、行政が先回りしてサービス情報をプッシュ型でお知らせしていくように変えていきます。さらにプッシュ通知を受けて、スマホで手軽に申請できるようにして、迅速なサービスの提供につなげていく予定です。

2つ目は、窓口ごとから行政の垣根を越えたサービスへの変革です。

利用者が行政サービスを受けようとする際、自治体や窓口ごとに別々に申請手続を行っている現状から、国や区市町村などの垣根を越えたデータ連携を生かし、いくつもの窓口を回る必要がないシームレスなサービス提供につなげます。

3つ目は、顧客視点のサービスへの変革です。

顧客ファースト、ユーザーファーストは、今ではサービス提供の基本です。

しかし、まだまだ行政視点で標準化されたサービスが提供されていることが多いのが現状です。これをデジタルで変革し、利用者ニーズや変化を捉え、サービスを提供する各機関が連携することで、最適なサービスを組み合わせ、提供していくことを目指します。

2030年代を目指して、変革を進めることにより、都民の暮らしをより豊かに、事業者の活動をより便利に変えていきます。

例えば、子育て支援の将来像です。

現状では各ライフステージにおいてさまざまな窓口に出向く必要が生じています。

こうした状況から、窓口にわざわざ出向かなくてもライフステージごとにプッシュ型で情報を届け、サービスが切れ目なく都民に届くようにしていきます。給付金等のサービスの「もらいそびれ」をなくすことにもつながります。

事業者の皆様も都への申請が変わっていきます。

今までは、申請の度に所在地や法人番号といった法人情報を登録したり証明書を準備したりすることが必要でした。そのため時間的、金銭的な負担を強いられていました。

こうした負担を軽減するために、「手続サクサクプロジェクト」を進めています。一度申請された法人情報が蓄積される共通のデータベースを整備し、次回以降の申請の際は法人情報の入力が不要とするものです。

ワンスオンリーで、手続の効率化も図ることができます。

将来的には審査の自動化も取り入れ、さらなるスピードアップやサービスの向上へつなげていきます。

このような3つの変革を実現するために、東京都と技術の専門家集団GovTech東京による新たな協働体制のもとで取り組みを進めていきます。

都とGovTech東京が中心となり、QOS(クオリティ・オブ・サービス)の果実を育むデジタルの森を、都民や事業者の皆様と共に豊かにしていきます。

東京デジタル2030ビジョンは都だけでは実現できるものではありません。

国や区市町村の皆様の力、スタートアップや企業の皆様の力、そして東京で生活し活動する都民や事業者の皆様の力。全ての力を掛け合わせて、ひとり一人がが輝く未来をデジタルの力で支えていける、東京の明るい未来を切り開いていきましょう。

4年かけて「世間の当たり前」が都政に根付いてきた

続いて、GovTech東京の理事長を務める宮坂副知事が、GovTech東京のビジョンや活動について説明しました。

都のデジタル化の歩みを示した図のように、この4年間で着実に変化を遂げています。

2021年には都庁のデジタル化を推進するデジタルサービス局を設置し、2023年には東京都全体のデジタル化を推進するためGovTech東京が設立されました。

都は、ペーパーレス、FAXレス、はんこレス、キャッシュレス、タッチレスの「5つのレス」を徹底し、仕事のやり方を変革してきたわけですが、例えばペーパーレス化は2016年と比べて7割の紙削減に成功しています。

また、FAXレスも2019年と比べて99%FAXを使わないように仕事が回る体制づくりを進めています。そのほか、行政相談や説明会、講演会などもオンライン配信する仕組みを構築するなど、いわば「世間の当たり前」が都政にもようやく根付いてきたと感じています。

さらに、2021年4月1日に施行された「東京デジタルファースト条例」によって、「原則デジタル化をしないといけない」という方針に転換し、これが行政のデジタル化の大きな一歩となる役割を果たしています。取り組みを支えるデジタル人材も、今では200人規模に増えています。

こうした改革を4年かけて進めてきたわけですが、都民の生活がデジタル化によって便利になったかというと、実感はあまりないのではないでしょうか。もっと取組を進め、都民の生活が便利で豊かなものにしていく必要があります。

行政の仕事を紙からデジタルに変えるなど、DXの“D”の部分はだいぶ進みました。ただ、思い描く都のあるべき未来の姿とはまだまだギャップがあると考えています。

GovTech東京は国や区市町村、事業者、都民の受け皿になる

このような背景があるなかで、情報技術で首都の未来を変えていくためにGovTech東京を設立しました。

GovTech東京で行う事業は図の6つです。

「共同化」と「協働」をキーワードにデジタル化の取組を進めてまいります。

共同化については「言うは易く行うは難し」。一筋縄にはいかないものだと捉えています。

一方で、都内全ての62区市町村からGovTech東京の設立にあたって賛同をいただきました。

いきなり、全てが共同化になるわけではありませんが、一歩ずつ取り組んでいけば、共同化できる余地が増えてくると考えています。

具体的には、AI議事録などのツールや端末等の調達、校務支援システムや図書館管理システムの開発など、各区市町村と「共同化」に向けた意見交換や議論を重ね、デジタルに必要不可欠な全体最適に向けた実現可能性を探っていきます。

また、GovTech東京では、公務員制度の枠にとらわれず人材を採用できるという民間としての強みを生かし、公的分野に関心を持つデジタル人材を柔軟に採用、各区市町村に派遣するという、人材の「共同活用」や「人材紹介」を通して区市町村のDXを後押しする体制も整えていきます。

こういった取組を進めていくために大事なのは「協働」です。

国や区市町村、アカデミア、民間企業、スタートアップなど官民の立場を問わずに対等の立場でしっかり議論して、共に働くことが肝になってくると考えています。

都庁全体では「Open & Flat」という働き方を掲げています。
色々な人が集まって、フラットに自分の意見を自己表現できるカルチャーをGovTech東京でも作っていきます。

行政のデジタル化は何十年、何百年もかけてやっていく仕事だと捉えています。

だからこそ大きな「船」を作って、都庁の公務員だけではなく国や区市町村、事業者などいろんな人が集まってくる受け皿になりたい、その役割をGovTech東京が担っていきます。

GovTech東京の設立に区市町村からは「期待」の声

後半ではトークセッションが行われ、小池知事と宮坂副知事、特別区長会から吉住健一新宿区長、東京市長会から加藤育男福生市長、東京都町村会から杉浦裕之瑞穂町長が登壇し、東京都が目指すDXの将来像について、区市町村でのこれまでの取組も踏まえて意見交換しました。

吉住健一新宿区長からは「DXを通じて、効果的・効率的な行政サービスの運営が求められるなか、これまでにも共同化の動きはあったものの各自治体で業務プロセスが異なるがゆえに一度に皆でというのは難しい状況でした。そうした中、GovTech東京が設立され、23区全体で加入できたのは大きな一歩だと感じています。」とコメントをいただきました。

加藤育男福生市長からは「知事と副知事のプレゼンを聞いて非常にワクワクした」という感想をいただき、「市長会はかねてより、基礎自治体のデジタル化のサポートを東京都にお願いしてきた経緯があります。共同調達のスケールメリットによるコストダウンや人材プールによる専門性の高いデジタル人材のシェアリングなど、GovTech東京には大変期待しています。」との声をいただきました。

杉浦裕之瑞穂町長からは、「一自治体が単独でDXに取り組むためには、人材の確保や財政面など様々な困難が伴い、DXへ「踏み出す前に躓いてしまう」ようなことが起きかねません。東京都全体のスケールメリットを生かした取組は、特に「人材確保」の面で大きな力を発揮できるのではと期待しています。」という感想をいただきました。

最後に、小池知事から、東京DXのネクストステージに込めた思いをお話しいただきました。

本日、東京デジタル2030ビジョンを発表しました。デジタルの力を最大限活用していくことが、東京を持続的に発展させていく鍵だと思います。

オール東京でのDXネクストステージということですが、都民サービスをどう向上させ、持続的な成長につなげていくかにみんなで向かっていくことがポイントだと思います。

区市町村だけでなく、民間やNPO等様々な主体がワンチームとなって、GovTech東京でよかったと言われるよう、ともにスタートしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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