行政DXの継続的な効果測定のあり方とデータ活用に関する調査研究報告
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博士人材との共創による研究成果を公表
一般財団法人GovTech東京(理事長:宮坂学、以下「GovTech東京」)は、「行政DXと自治体業務の効率化に向けた指標及びデータ活用スキーム研究」の成果を取りまとめた報告書を公表しました。
本調査研究では、行政手続や業務システムから自然に生成されるデータに着目し、行政DXの成果を継続的に把握するための指標やデータ活用スキームを整理しました。
本調査研究は、東京都の「博士人材活用プロジェクト」を通じて参画した博士人材とGovTech東京が共同で実施しました。
調査研究の背景
全国の自治体では行政DXの取組が進む一方、その成果をどのように把握するかが1つの課題となっています。業務改善や住民サービス向上に効果があったのか、どの施策が有効だったのかを把握できなければ、今後の政策立案や施策の改善、他業務・他自治体への展開につなげることが難しくなります。
これまでの評価は、オンライン化率やシステム導入件数などのアウトプット指標に偏りがちであり、住民利便性の向上や職員負担の軽減といったアウトカムを継続的に把握する仕組みは十分に整備されていませんでした。
また、実測調査やヒアリング、アンケート等は有効な手法である一方、測定そのものが現場の新たな負担となるため、継続的な運用が難しいという課題があります。こうした課題を踏まえ、本調査研究では、行政DXの効果検証における本質的な課題を、比較可能なデータを低負荷かつ継続的に取得できる仕組みの不足と捉え、その考え方や仕組みについて整理しました。
調査研究の結果
本調査研究では、行政DXの効果検証において重要なのは、新たな調査やアンケートを繰り返すことではなく、通常業務の中で発生するデータを継続的に活用できる仕組みを整備することであると整理しました。
その有力な手段の一つとして、本調査研究では業務システムやオンライン手続等の利用によって自然に生成されるログデータに着目しました。ログデータは、処理時間、待機時間、差戻し回数、処理件数などの業務状態を継続的に把握できる可能性を持っており、業務の変化や改善効果を低負荷で観測するベースとなりえます。
その結果、以下を整理しました。
- 業務と測定を一体化する「デジタル測定」の考え方
- 処理時間、待機時間、差戻し回数等を継続的に把握する指標体系
- 前後比較や自治体間比較を可能にする測定・分析の枠組み
- ログで把握できる「観測可能領域」と、ヒアリング等による「非観測領域」を組み合わせた評価モデル
- 継続的な運用を前提とした自治体横断のデータ活用スキーム
また、本調査研究では、ログデータだけで行政DXの成果を評価することはできないことも明らかにしています。住民の納得感や手続の分かりやすさ、職員の心理的負担、窓口や電話対応などのシステム外業務はログから把握することが難しいため、実測調査やヒアリング、アンケート等を組み合わせて評価することが重要です。
さらに、ログ活用は業務改善やサービス品質向上のために用いられるべきものであり、個人の能力評価や勤務監督に利用されるべきではありません。本調査研究では、利用目的の限定、匿名化・仮名化、アクセス制御、監査記録等をあらかじめ設計することで、「監視にならない測り方」の重要性についても提言しています。
本調査研究の詳細については、以下の報告書をご参照ください。
行政DXと自治体業務の効率化に向けた指標及びデータ活用スキーム研究
令和7年度博士人材活用プロジェクト_報告書概要
令和7年度博士人材活用プロジェクト_報告書本文
「博士人材活用プロジェクト」について
本調査研究は、東京都が実施する「博士人材活用プロジェクト」の一環として実施されました。
同プロジェクトは、博士課程学生やポストドクターに対して実践的な研究の場を提供し、博士人材の活躍機会の拡大と行政課題の解決を両立することを目的としています。
参考:プレスリリース「GovTech東京、行政DX推進データ活用研究プロジェクトへの参加博士人材・大学を募集」
今後の展望
本調査研究は、行政DXの成果を継続的に可視化し、改善につなげるための第一歩となるものです。今後は、小規模な実証実験(PoC)を通じた検証や適用対象業務の拡大、自治体横断での比較分析手法の確立などを進め、データに基づく政策形成と業務改善の高度化を目指します。GovTech東京は、行政とアカデミアの共創による研究成果を実装につなげることで、住民サービスの向上と自治体職員の負担軽減を実現するとともに、持続可能な行政DXの推進に取り組んでまいります。