# Govtech東京統合年次報告2025-2026 2025年4月-2026年3月 ## トップメッセージ ### いただいたフィードバックを、進化のエンジンに GovTech東京は東京都、都内62区市町村と共に、東京全体のDXを進めています。私たちは「東京・日本での生活がデジタルの力を通じて便利で快適になっている状態」を、2040年の「あるべき姿」に定めています。この姿を実現するために、2024年に「中期経営計画」を策定。着実に歩みを進めてきました。そして統合年次報告という形で年次の進捗や取組を積極的に開示しています。これはステークホルダーの皆さまからフィードバックをいただき、計画を改善、進化させながら変革を加速していくための取組です。 ### 全国で行政イノベーションを担う、GovTech東京の人的資本 今年度も、GovTech東京には様々な専門性を持ったデジタル人材が大勢仲間入りしました。設立3年で、職員は300名を超えました。彼らはGovTech東京の進化を支える存在であることはもちろん、行政イノベーションの担い手でもあります。将来的にはGovTech東京という枠組みに留まらず、全国各地でAI活用やDXを先導していく社会全体の人材資産となることを期待しています。こうした人材を世に送り出していく組織であるという自覚のもと、この統合年次報告では、人的資本に関する情報について積極的に開示し、皆さまにより貢献できる組織へと成長を続けます。 一般財団法人GovTech東京 理事長 宮坂 学 ## 1 2025-2026トピックス ### GovTech東京の2025年4月-2026年3月 行政DXの志は、「始まり」から「広がり」へ― 東京都と協働で行政のデジタル化を推進するGovTech東京は、2050年代の東京の姿として「2050東京戦略」で示された、デジタルの力で都民の生活の向上を目指す「スマート東京」の実現に向けて、中期的な実行計画である「中期経営計画」に沿って取組を進めています。本報告では、その進捗をお伝えします。 ### 「内製開発」の力を、より深く、より広く。 デジタルの力で、都民一人ひとりがスマホ一つで行政とつながる #### 東京アプリ(東京都公式アプリ) 行政とのタッチポイント一元化 約640万ダウンロード達成(2026年5月末時点) 現在地と展望 - 都民とつながり、行政サービスをより速く届ける 従来20日ほどを要していた給付に対して、支援を最短即日でお届けするなど、行政サービスの提供スピードが飛躍的に向上。今後は、暮らしの中で必要な情報・手続・支援が確実に届く体験を広げるため、サービスを拡充する予定。 詳細は「サービス:都民1,400万人の暮らしを支える東京アプリ(東京都公式アプリ)」を参照 行政職員が自ら開発した業務アプリを共有できる基盤 #### A1(生成AIプラットフォーム) 本格運用を開始 都職員 約6万人へ拡大 現在地と展望 - 業務アプリを共有・展開し、行政課題を効率的に解決 職員が生み出したアプリ数約4,800個(2025年度時点) 2026年4月にはA1(えいいち)として本格始動。共同化を通じて、自治体横断で行政課題を解決することを目指す。 詳細は「基盤:行政職員が共有する生成AIプラットフォーム「A1(えいいち)」を参照 2026年度に向けて #### 「開発戦略」の策定 サービスの作り方・届け方の基本的な考え方「開発戦略」を策定しました。 策定にあたっては、職種や役割を超えて職員が議論に参加し、現場の声を反映しています。 職員参加による議論(2025年12月) ### 「連携」の力を、より広く、より強く。 - 東京都内 都内区市町村と連携を強化 62/62区市町村との協働・サポートを強化 - 海外の自治体・関係機関 世界と知見の共有へ 15か国・9都市 合計26件の連携・交流を実現 - MOU締結 ソウルAI財団との間で、AI領域を中心とした連携強化を目的とする合意書(MOU)を締結(2026年4月) - ガブテックカンファレンス・グローバル 海外都市との共通課題解決に向けた知見共有の場として初めて主催。エストニア共和国、ウズベキスタン共和国、台北市、ソウルAI財団等が登壇(2026年4月) - 都外自治体 都外自治体との連携・交流を拡大 67の自治体(37府県・30市町村)との連携・交流を達成 連携協定の締結/視察交流/研修の参加/意見交換の実施/職員のCIO補佐官としての支援等 ※2026年7月17日時点 詳細は「全国自治体へ連携・交流を拡大」を参照 ## 2 GovTech東京とは ### GovTech東京の役割と仕組み #### 東京都デジタルサービス局とGovTech東京の協働体制 [画像:東京都デジタルサービス局とGovTech東京が協働で結ばれ、行政的業務と開発的業務の両面から取り組む協働体制を示す図] - GovTech東京とは 東京都のDXを効果的に進めるため、2023年に東京都の外側に設立された組織です。東京都(デジタルサービス局)との協働体制のもと、デジタル化による行政サービスの向上に向けた取組を進めています。 - 東京都とGovTech東京の協働の仕組み 東京都が目指す「スマート東京」の実現に向けて、行政分野の知見を持つ東京都の職員と、デジタル分野の知見を持つGovTech東京の職員がバディを組み、それぞれの強みを生かして、事業を推進しています。 #### 東京都とGovTech東京が目指す「スマート東京」とは デジタルの力で東京都のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることができる社会 東京都の高度で安全性の高いデジタルインフラを基盤に、子ども、高齢者、障害のある方を含むすべての人に、質の高い行政サービスをデジタルの力でお届けし、暮らしの中のあらゆる場面でデジタルの恩恵を実感できる社会を実現します。 ##### スマート東京を構成する3つの層 「スマート東京」は3つの層で、目指す姿を実現していきます。 - サービス 東京都が都民に対して行政サービスを提供するレイヤー 目指す姿:デジタル技術を活用するからこそ実現できる迅速かつ効果的な行政サービスをお届けする - 接点 Webページやアプリ等を通じて東京都と都民がつながるレイヤー 目指す姿:誰一人取り残されずにデジタルの接点で行政サービスとつながることができ、必要な人には窓口や対面も活用しながら、情報や手続等を迅速かつ円滑にやり取りできている - 基盤 都民がデジタルサービスにつながるための基盤となるレイヤー 目指す姿:いつでも、誰でも、どこでも、何があっても通信がつながり、データの利活用やAIなど先端技術の活用によりサービスの質や職員の生産性が底上げされている ### GovTech東京が目指す未来 #### Our Mission 我々が追い求める使命 「デジタルの力で 住民一人ひとりの生活を豊かに、そして幸せに」 デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送ることを目指す #### Our Vision ミッションを実現するために我々が為すべきこと 「情報技術で行政の今を変える、首都から未来を変える」 都内62区市町村はもちろんのこと、“首都・東京”として全国1700以上の自治体への貢献、 さらには世界各都市のデジタル化に貢献していく ### GovTech東京の活動年表 #### 2023年 - 7月 - 「一般財団法人GovTech東京」設立。9月に事業をスタート - 2月 - 「GovTech東京パートナーズ」募集開始 複業として都内自治体のDX推進プロジェクトに参画したい人材向けに、GovTech東京がその機会を提供するサービス #### 2024年 - 4月 - 都内区市町村と連携し、デジタルツール等の共同調達を開始 東京都と都内区市町村と連携し、業務等で利用するデジタルツールを共同調達。都内30の区市町村と団体が参加し、単独調達よりも10~50%超のコストメリットが実現 - 財団全体の職員数が100人を突破(※理事、都派遣職員、区市町村派遣職員を含む全職員) - 5月 - 保活ワンストップサービスの実現に向け、都内3自治体と連携した取組を開始 東京都、GovTech東京、国が協働し、保育園探しから入園までの手続がオンラインで完結する「保活ワンストップシステム」構築のため、都内3自治体と連携 - 10月 - 財団初の中期経営計画を策定・公開 - 12月 - 「生成AIプラットフォーム」構築を発表 東京都各局や区市町村全体で利用可能なプラットフォームを、オープンソースソフトウェアを利用して内製で整備・構築を進めることを報告 - 2月 - 東京都公式アプリ「東京アプリ」をリリース 都民の利便性向上を目指すアプリとして発表。GovTech東京は技術面(プロダクト設計、構築、UI/UXデザイン等)を担当 - 3月 - 財団全体の職員数が200人を突破※ - 5月 - ガブテックカンファレンス初開催 テーマ:行政デジタルサービスを内製で開発するリアルと可能性 - 8月 - 女子中高生向けSTEM体験ツアー「Girls Meet STEM in TOKYO」参画 理系分野に進路希望を持つ女子中高生向けオフィスツアーを開催 - ガブテックカンファレンス開催 テーマ:行政における生成AI活用の最前線 「東京都AI戦略」を踏まえて、公共分野でAIをどのように活用していくかをディスカッション - 10月 - 自治体・行政職員向けの「視察オープンデー」を初開催 GovTech東京の取組やノウハウを自治体の皆さまに共有する場として、オフィスツアーを含むオープンデーを実施。以降継続的に開催中 - 12月 - Tokyo区市町村DX Connect Day 2025を東京都デジタルサービス局と共催 区市町村DXの優れた取組を共有し、職員同士や企業等との交流を通じて新たな協働を生み出すイベント - これからの公共について語るソーシャルキャリアイベント「GO!公共!」を開催 行政のデジタル化においてステークホルダーと向かう未来について共有。公共の仕事の魅力をあらためて発信 - 財団全体の職員数が300人を突破(※理事、都派遣職員、区市町村派遣職員を含む全職員) - 1月 - 東京都、広島県、GovTech東京の三者で「AI利活用の推進における連携・協力に関する基本協定」を締結 - 政策の成果や都民の暮らしの変化をデータ化した「データでわかる東京」を開設 東京都と連携して、政策の進捗や東京の現状等に関するデータを集約し、ワンストップで閲覧できるWebサイトをオープン - 2月 - ガブテックカンファレンス開催 テーマ:医療DXの未来~DXがもたらす医療現場の変革~ 行政、医療機関、事業者、患者等、多様な視点から医療現場の課題解決を担う「医療DX」の現状と未来について議論 - 3月 - デジタル庁と合同でキャリアミートアップイベントを開催 - 4月 - 都職員約6万人を対象に生成AI「A1(えいいち)」の利活用を開始 - ガブテックカンファレンス・グローバル開催 テーマ:行政×AI 世界の実践と未来 - 東京都とソウル特別市、GovTech東京とソウルAI財団がデジタル・AI等の分野で合意書(MOU)を締結 ## 3 中期経営計画の進捗 ### 中期経営計画策定の背景 #### 2040年の目指す姿「中期経営計画」を策定 ビジョンとして掲げる“情報技術で行政の今を変える、首都から未来を変える”を実現するため、2024年10月に「中期経営計画」を策定しました。都内62区市町村に留まらず、全国・世界の都市への貢献も目指す本計画を皆さまと共有し、より一丸となってゴールを目指します。 [画像:2023年設立から2024年、2027年を経て2040年の目指す姿へと続く成長曲線の図。右肩上がりの矢印に沿って各年の到達段階を同心円で示し、2040年を最終目標として中期経営計画のロードマップを表現している。] 2040年に目指す姿を、「東京・日本での生活がデジタルの力を通じて便利で快適になっている」として、主要な重要目標達成指標(KGI)を設定 2027年までをファーストステップと位置づけ、3つの軸を中心に計画を策定 1. サービス品質の変革 「ダメなサービスを撲滅し、ダメなサービスを放置しない」を徹底 2. 内製開発力の獲得 外注開発+内製開発のハイブリッド型に転換 3. 持続可能な経営基盤の確立 サービス品質の変革や内製開発を持続的に進める経営の仕組みづくり なお、中期経営計画で掲げる目標を達成するため、各施策の進捗状況を客観的に評価し、改善につなげるためのモニタリング(進捗管理)を定期的に実施しています。 ### 開発戦略 #### 開発戦略の策定 中期経営計画が掲げる3つの達成目標―「サービス品質の変革」「内製開発力の獲得」「持続可能な経営基盤の確立」を達成するために、GovTech東京は「サービスをどうつくり、どう届け続けるか」の基本的な考え方として「開発戦略」を策定しました。 ##### 開発戦略を構成する4つの要素 開発戦略はプロダクト開発の考え方や優先順位、組織としての取組を一体で示す“羅針盤”です。人材・文化・プロセス・技術の4要素で構成されます。 [図:開発戦略(OS)を中心に、それを支える4つの要素を円で配置した概念図。中央の「開発戦略(OS)」を囲んで、人材(Empowerment)、文化(Mode Mix)、技術(Technology for Impact)、プロセス(Adaptability)の4要素が一体となって開発戦略を形づくることを示している。] ##### 開発戦略を進めるための4つの行動原則 開発戦略の中核となる行動原則は下の4つから構成されます。これらの原則を実装し続けるために、HRT(謙虚・尊敬・信頼)を軸に協働を進めます。また、この原則を遵守しながらも、矛盾することがある場合は、説明する責任を職員に求めます。 この戦略は「生きた方針」であるため、技術や社会の変化に合わせて、更新し続けます。 - 使いやすさを起点に利用者の声を取り入れより良いサービスを共につくる - 少しずつ確かめながら前に進むことで変化に強く信頼されるサービスをつくる - サービスを継続的に提供するためロックインを排除し入れ替え可能な技術を選定 - コードや知見を幅広く公開・共有し社会全体の資産とすることを目指す ### 2026年3月までの主な取組と成果 「スマート東京」の実現に向けて開発的業務で担う取組と成果 GovTech東京と東京都が共に目指す戦略に沿い、3つの層を軸に、次の取組の進捗と成果を紹介いたします。 | 層 | 説明 | 主な取組 | |---|---|---| | サービス | 都が都民に対して行政サービスを提供する | 「当たり前品質」の実現に向けた取組、こどもDXの推進 | | 接点 | Webページやアプリ等を通じて都と都民がつながる | 東京都公式アプリ、都民ユーザーテスター | | 基盤 | デジタルサービスにつながる基盤を提供する | 生成AIプラットフォーム、東京都のデータ戦略への支援、サイバー攻撃対策への支援、東京都の業務システムのクラウド転換への支援 | 「スマート東京実施戦略」2025-2026 東京都デジタルサービス局により、上記の3つの層を軸にまとめられた戦略で、主に行政的業務の面から取組・成果が公表されています。 [スマート東京実施戦略](https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/business/smart-tokyo) #### サービス:「当たり前品質」の実現に向けた取組 都が提供するすべてのデジタルサービスで「当たり前品質」を実現するため、専門的な技術力をもって都庁各局等と協働し、都民一人ひとりにとって使いやすいサービス提供を目指します。(2025年度支援件数176件) - 東京都高齢者見守りサポーターアプリ 支援先:福祉局 リサーチから開発・リリースまで、自治体DX課題を一貫して伴走支援 高齢者の見守り活動を支援する「東京都高齢者見守りサポーターアプリ」について、企画段階における区市町村への調査の支援をはじめ、要件定義の整理や各種設計書のレビューを実施しました。あわせて、セキュリティに関する課題やユーザビリティテストに関する助言等、開発工程全域にわたる伴走型の支援を行いました。 - SMART CITY TOKYO ホームページ 支援先:デジタルサービス局 リニューアル予定のハブサイトを分析し、最適化のための改善案31件を提案 スマートシティ施策を紹介する「SMART CITY TOKYO ホームページ」について、スマートシティ施策のハブサイトを分析し、UXやユーザビリティのサイト構成や、情報の分かりやすさに関する評価を実施。制作にあたり計31件の改善案を提案し、サイト訪問者の体験改善を図りました。また、現行のアクセス状況の把握方法を確認し、サイトリニューアル後の最適化を支援しました。 - ユーザーレビューシステム ユーザーレビューシステムを開発し、継続的なサービス改善に寄与 利用者のレビュー結果を踏まえた継続的なサービス改善を実施するため、東京都と協働で新たなユーザーレビューシステムを開発しました。2025年度に都庁総合ホームページへ導入し、順次拡大を目指しています。デザイン面においても、表情アイコンによる5段階評価とするなど、直感的かつ簡単なレビュー投稿を可能とするUI設計としています。 #### サービス:こどもDXの推進 サービス品質の変革の一環として、子育て分野の「知りそびれ」や「手続の煩雑さ」といった課題を解消するため、“こどもDX”として情報基盤の整備とオンライン手続の拡充を進めています。 - プッシュ型子育てサービス 一人ひとりに必要な情報が適切なタイミングで届き、知りそびれや申請忘れをなくす取組です。 - 子育て支援制度レジストリの整備 登録済の約7,800制度のうち約1,100制度を更新した上、国の子育て支援制度レジストリへの移管を実施 - 更新支援ツールの開発・実証​ AIを活用し、レジストリのデータ更新から配信内容の生成までが可能なツールを開発。11自治体と連携してツールを活用したデータ更新とプッシュ配信を実施 - 母子保健オンラインサービス(PMH) デジタル庁の基盤を活用し、マイナンバーカード一つで医療費助成や予防接種の手続を可能にします。 - PMHの接続 都内31,057の医療機関等のうち約10,700施設とPMH接続を完了 [グラフ:PMH接続施設数が4,332施設(2025年5月9日)から約10,700施設(2026年3月31日)に増加したことを示す棒グラフ。] - 利用者満足度 4.1/5 - 保活ワンストップサービス 東京都とGovTech東京が「保活情報連携基盤」を構築し、保活がオンラインで完結する「保活ワンストップサービス」を提供。さらなる利便性の向上に向け、保活オンライン相談及び指数シミュレーションの新たな2機能を実装しました。 - 参加区市町村・保育施設 19区市町村1,276保育施設 - 利用者満足度 4.2/5 - 電子版母子健康手帳のトライアル導入 妊娠や子育てに関する情報を保護者がより取得しやすくなるよう、東村山市民の方を対象に、電子版母子健康手帳をトライアル導入。その機能について検証し、サービスの有効性等を検討しました。 - 利用者満足度 4.0/5 - 以下の3機能について約90%が便利だと回答 - パーソナライズされたプッシュ配信 - 母子バッグ等の配布物のアーカイブ化 - マイナポータルを介した健診記録や接種記録等の取得 2026年3月31日時点 #### サービス:都民1,400万人の暮らしを支える東京アプリ(東京都公式アプリ) 2025年2月にリリースした都民と行政をつなぐ「東京アプリ」。GovTech東京では自ら開発・改善を行う内製開発体制を推進し、最新技術の採用やアクセシビリティへの配慮を通じて、課題に迅速に対応できる環境を整えています。都民の声や利用状況を踏まえながら、継続的なサービス向上を進めています。 ##### 必要な人へ、受け取りやすく「支援の迅速化」 マイナンバーカードによる本人確認機能を実装し、2026年2月に「東京アプリ生活応援事業」を開始。従来20日ほどを要していた給付に対して、支援を最短即日で届けるなど、行政サービスの提供スピードを大幅に向上させました。また、東京アプリ生活応援事業等の円滑な実施に向け、コールセンターにて問い合わせ対応や操作方法の案内の支援も実施しています。 [画像:行政支援の申請フローをBefore/Afterで比較した図。Beforeは都民が紙で申請し、都庁からの現金給付(振込)まで約20日かかる流れ。Afterは都民がスマホで申請し、最短即日で支援が届く流れを示す。] ##### 都民と行政をつなぐプラットフォームへ 東京アプリで提供を目指す主なサービス - 都民一人ひとりに合った情報が届く「プッシュ機能」 - 生成AIが行政手続を分かりやすく案内 - 簡単に給付が受け取れる - 施設入場をスムーズにする「デジタル都民証」 ダウンロード数 約640万達成 マイナンバーカードで都民とつながった数 約510万人 2026年5月末時点 #### 接点・基盤:都民ユーザーテストの枠組み構築 行政サービスの開発過程の中で、多様な属性を持つ方々を含む、あらかじめ登録いただいた都民にテストユーザーとしてご参加いただくことで、ユーザー視点のフィードバックを企画・品質改善に生かす仕組みです。 [図:都民が登録し、都民ユーザーテスターが声を集めて集計・分析し、行政へフィードバックする流れを示す図。] ##### 住民参画型デジタル行政サービスの創出 行政が提供するデジタルサービスは、本来「誰一人取り残されない」ものであるべきですが、実際には操作の分かりづらさや情報の探しにくさなどから、利用が困難なケースも存在しています。 こうしたサービスの設計・改善を行うために都民参加型でユーザー視点を継続的に取り入れる仕組みとして本格始動しました。企画・開発・改善に都民の声を継続的に反映させることで、デジタルサービスの品質向上を図る目的です。 - 初年度は障害のある方を対象にアンケートとインタビューを実施 障害のある方からの調査回答数 1,555件 令和7年度は、本事業の初年度として「東京都在住の障害のある方」を対象に実施。Webアンケートによる定量調査と、インタビュー形式の定性調査を行いました。 この結果は「[令和7年度都民ユーザーテスター事業調査報告書](https://www.govtechtokyo.or.jp/wp-content/themes/GovTechTokyo/document/%E3%80%90%E5%85%AC%E9%96%8B%E7%94%A8%E3%80%91%E4%BB%A4%E5%92%8C7%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E9%83%BD%E6%B0%91%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf)」として公表しています。 今後は新規サービスの企画段階におけるユーザーリサーチ、既存サービスの課題抽出と改善に向けたユーザーテスト、アクセシビリティやインクルーシブデザインの検証等に活用し、「つくってから直す」のではなく「つくる前に確かめる」プロセスの定着化を目指します。 #### 基盤:行政職員が共有する生成AIプラットフォーム「A1(えいいち)」 「A1」は、行政職員が業務課題に応じたAIアプリを自ら開発し、組織内や自治体間で共有できる生成AIプラットフォームです。AI時代において、業務特有の知見や仕組みを共有し、業務の生産性を向上していくことを目的に整備しました。 ##### 「A1(えいいち)」の構築・運用開始 OSS(Open Source Software)を活用した独自の生成AIプラットフォーム「A1」を2025年9月から都庁約6万人の職員へ展開。職員自らがAIアプリを開発・共有できる環境を整備し、自治体間で再利用可能な「デジタル公共財」として展開を進めています。2026年3月時点で、利用組織全体で4,800個以上のアプリが作成されました。 主な活用例 議会答弁検討に係る作業や仕様書案作成を支援するアプリを独自UIで開発し、全庁共通利用を促進。 A1がもたらす価値 - 行政職員でもAIアプリを開発できる - 環境構築が不要で時間とコストを大幅に削減できる - 作成したアプリ等を共有し、「デジタル公共財」として他自治体でも再利用できる - API連携で既存ツールと接続し、職員の利便性が向上できる 組織全体で進むAI活用 GovTech東京ではA1に加え、様々なAIツールを活用しています。業務効率化だけでなく、組織内の知識共有や意思決定支援にも活用を広げています。活用事例やノウハウを共有する勉強会も継続的に開催し、組織全体のAI活用を推進しています。 主な活用例 - 文書作成や会議業務の効率化 - 業務ナレッジの蓄積 - プロジェクト情報の整理・可視化 - 意思決定や状況把握の支援 #### 基盤:東京都のデータ戦略を支える 行政の透明性を高めるデータの可視化、データ利活用基盤の構築、区市町村の負担を軽減するデータ整備ツールの構築等に取り組んでいます。 東京都データマネジメント基本方針 東京都では「東京都データマネジメント基本方針」を策定し、データを公共インフラとして組織の垣根を超えて活用できる構造へと変革を推進しています。 東京都のデータ構造の全体像(アーキテクチャ/共通ルール)を確定しました(2026年4月に要件定義を完了)。 [図:東京都のデータ連携の全体像を示す概念図。上から「都民・事業者/サービス」「データハブ」「インフラとしてのデータ」の3層で構成され、都民や事業者とのタッチポイント(東京アプリ・事業者向けWebサイト)から、組織の垣根を越えてデータを連携するデータハブを介し、国・区市町村・民間(準公共)へとデータが流れる様子を矢印で表現している。基盤には東京都基礎情報データベースなどのインフラとしてのデータが位置づけられている。] ※データハブ:複数のシステム間で、API等を介して決められたルールに基づき、データを連携・共有する仕組み - データでわかる東京 東京都と連携し、タイムリーな情報や重要な政策テーマに関するデータを都民がワンストップで閲覧できるポータルサイト「データでわかる東京」を2026年1月から運用開始しました。 今後は、プッシュ型子育てサービスや保活ワンストップサービスなど、政策や取組が都民生活にもたらした影響・効果を可視化していきます。 - 東京データプラットフォーム 公共や民間などのデータが流通する場を提供し、データを提供する人・利用する人などがつながるコミュニティを形成することで、新たなデータ利活用事例の創出を支援・加速する取組です。 行政データの鮮度を保つためのクレンジング(正確で活用しやすい状態にするための整理)の将来的な自動化に向けて、AIを活用しながら検証を実施しています。 #### 基盤:巧妙化・高度化するサイバー攻撃への対策を支える サイバーセキュリティの中核となる共同セキュリティ監視センター(共同SOC)を構築し、東京都のインターネット系の共通基盤(TAIMS※1、セキュリティクラウド、クラウドインフラ等)の監視を2025年度から開始しています。 ##### 都と協働した一元的なセキュリティセンターの設置 巧妙化・高度化するサイバー攻撃に対応するため、東京都と区市町村等がセキュリティ対策を共同で活用・実施する「共同セキュリティ監視センター」を構築。2025年度は「SIEM(ログ収集分析基盤)の立ち上げ」を行い、TAIMSやセキュリティクラウド等重要システムの監視を開始しました。 また、東京都のASM※2やSSPM※3等新たな技術的対策の導入に向けた構築支援を実施しています。 ##### 区市町村におけるセキュリティポリシーの策定支援 都内区市町村における改正地方自治法に基づくサイバーセキュリティ基本方針の策定を支援し、都内の全ての区市町村で策定が完了しました。 プロジェクト型伴走サポート・スポット相談で、総務省発行のガイドラインに沿うよう、都内区市町村計21自治体のセキュリティポリシーの改定を支援しました。 [図:サイバー攻撃に対する共同セキュリティ監視の仕組みを示した概念図。上部の「共同セキュリティ監視センター」では、東京都CSIRTとSIEM(Security Information and Event Management/セキュリティ情報イベント管理)が常時監視・分析を行い、迅速な状況把握・分析や予兆を踏まえた対策実施につなげる。下部のTAIMS・セキュリティクラウド・クラウドインフラ・個別システムから出力されるログを常時収集・調査・分析する流れを矢印で表している。] ※1 Tokyo Advanced Information Management System(東京都高度情報化推進システム) ※2 Attack Surface Management(攻撃対象領域管理) ※3 SaaS Security Posture Management(SaaSセキュリティ態勢管理) ※4 Computer Security Incident Response Team #### 基盤:東京都の業務システムのクラウド転換を支える 行政サービスの安定・安全のため、全庁を束ねる「東京都クラウドインフラ」を整備・運用し、東京都が開発する各局等業務システムのクラウド転換を促進しています。 ##### クラウドインフラ等の構築・移行支援 クラウド基盤の構築を完了し、2025年11月に東京都クラウドインフラの運用を開始。 東京都各局等が持つシステムのクラウドインフラへのリフト・シフト実現に向け、クラウド転換予定の各局等業務システムに対して移行支援を実施しています。 各局等の職員が東京都クラウドインフラ上で業務システムを構築する際に必要な、標準的な手順や知識等の情報にアクセスできる利用ガイドサイト・ナレッジバンクについて、2025年11月に運用を開始しました。 [画像:東京都各局、東京都クラウドインフラ(業務システム)、利用ガイドサイト・ナレッジバンク、東京都デジタルサービス局・GovTech東京の4者の関係を示す概念図。各局とインフラ間で調達・設計・構築および構築・改善が行われ、ナレッジバンクを介した問い合わせ・照会と回答・共有、デジタルサービス局・GovTech東京による運営・登録が矢印で結ばれている。] ### 都・各自治体との協働 行政のデジタル化を進める上で欠かせない、私たちの3つの価値観 ここまでの章でご紹介した中期経営計画は、行政のデジタル化という大きな変革を目指す上で、あるべき姿に進んでいくための計画を示したものでした。 さらに東京都とGovTech東京が前進していくための行動基準となるもの。それが「協働」「共有」「連携」という3つの価値観です。多くの自治体、団体とつながり、成功例や失敗例も共通の教訓に、大きな目標に向かっていく姿勢を大切にしています。 - 東京全体のDXに向けた協働 都内区市町村や都庁各局、政策連携団体、GovTech東京が協働し、分野や組織の枠を超えた取組を進めることで、東京全体のDXを推進しています。 - 知見や実践知、開発した資産の共有 都内区市町村全体で優れた実践知を共有・横展開する取組を実施しています。ソフトウェアなどの資産をデジタル公共財として利用できるよう広げていきます。 - 国や国内外の自治体等との連携 ナレッジ公開や他自治体との協定締結を通じて全国のDXを後押しすると共に、海外の都市や企業との意見交換・連携により、変革の加速を目指します。 #### 区市町村のDX推進に向けた協働 ― 相談・伴走サポート GovTech東京の協働事業は都内区市町村の100%(62区市町村)が利用。専門人材によるスポット相談とプロジェクト型伴走サポートを通じ、各区市町村が抱える多様なDX課題に寄り添い、高い満足度を獲得しています。 - 事業1 スポット相談 区市町村が抱えるデジタルに関する課題に対し、GovTech東京の専門人材が技術相談を実施しています。 - 相談件数 188件 - 利用自治体数(※一部事務組合等も含む) 54自治体 - 平均満足度 4.7/5 主な相談内容 - Power BI等を活用したデータの可視化相談 - オンプレミスシステムのクラウド化について - ホームページのアクセス数の分析について - DX推進計画のレビュー - 自治体情報システムの統一・標準化に関する相談 - 事業2 プロジェクト型伴走サポート 区市町村が抱えるデジタルに関連する共通課題に対し、GovTech東京と都デジタルサービス局によるチームを編成し、様々な技術的アドバイス等を行い、課題解決の支援を実施しています。 - 延べサポート件数 118件 - 利用自治体数(※一部事務組合等も含む)52自治体 - 平均満足度 4.6/5 | テーマ | 件数 | 満足度 | |---|---:|---:| | ウェブサイトの課題抽出・改善 | 17 | 4.9 | | 生成AIの業務活用実践 | 37 | 4.7 | | 公共施設の予約管理業務 | 15 | 4.6 | | 窓口DX(書かない窓口) | 15 | 4.5 | | セキュリティポリシー改定 | 20 | 4.8 | | BIツールによるデータの可視化支援(上期) | 8 | 4.4 | | ペーパーレス化サポート実行計画支援(上期) | 6 | 4.4 | ※各項目は5点満点で評価 2026年3月31日時点 #### 区市町村のDX推進に向けた協働 ― 共同調達・人材活用 GovTech東京の協働事業は都内区市町村の100%(62区市町村)が利用。共同調達・共同開発によるコスト削減と、デジタル人材のマッチングを通じ、東京全体のDX基盤を底上げし、区市町村が提供するデジタルサービスの品質向上を支えます。 - 事業3 共同調達・共同開発 デジタルツール等の共同調達で東京都と区市町村の調達コストと事務負担を軽減し、区市町村間で共同利用可能なサービス創出・提供を進めています。 - 利用自治体数(※一部事務組合等も含む) 64自治体 - コストメリット 約10.7億円(累計約54億円) - 平均満足度 4.1/5 - 共同調達テーマ数 14テーマ - パソコン等借り上げ - AI議事録 - e-Learning等 - 事業4 GovTech東京パートナーズ 複業可能なデジタル人材と、公共分野におけるデジタル人材を募集している東京都内の区市町村等とをマッチングする、人材紹介サービス事業です。 - 任用決定数(※一部事務組合等も含む) 26自治体33人(累計) - 都及びGovTech東京内任用 11人(累計) 決定ポジション例:CIO補佐官、BPR支援、住民広報向けデザイン、Webサイト改善等 - 受け入れ側の平均満足度 4.6/5(累計) - 任用者の平均満足度 4.8/5(累計) 詳細は「東京全体の行政DXを支える、GovTech東京パートナーズ」を参照 2026年3月31日時点 #### 全国自治体へ連携・交流を拡大 都内自治体はもちろんのこと、視察の受け入れや先進事例を広く共有することで、全国の自治体とのリレーションが広がっています。 - 67の自治体(37府県・30市町村)との連携・交流を達成 主な連携 - 東京都、広島県、GovTech東京の三者で 「AI利活用の推進における連携・協力に関する基本協定」を締結 - 5都県知事が自治体DX・AX推進の重要性を議論、28府県等から111名が参加するガブテックカンファレンスを開催 - 視察受入、ワークショップの実施 - 意見交換、登壇・自治体訪問 等 - 視察オープンデーを継続開催 全国の自治体、行政機関から行政DXについての意見交換や視察へのニーズが増加。これを受けて2025年10月から「視察オープンデー」を開始しました。アンケートでは毎回高い満足度を獲得しています。 2025年10月~2026年7月 計4回開催 - 合計参加自治体 61自治体 - 平均満足度 4.5/5 ※2026年7月17日時点 #### 都外自治体連携・交流一覧 全国の自治体との連携・交流の実績です。視察受入、出張視察、意見交換、GovTech東京が主催するワークショップへの参加、CIO補佐官の派遣等、共に行政DXを推進する目的で交流を行った全国の自治体をご紹介します。 府県数:37府県 - 岩手県 - 秋田県 - 山形県 - 茨城県 - 栃木県 - 群馬県 - 埼玉県 - 千葉県 - 神奈川県 - 新潟県 - 富山県 - 石川県 - 福井県 - 山梨県 - 長野県 - 岐阜県 - 静岡県 - 愛知県 - 滋賀県 - 京都府 - 大阪府 - 兵庫県 - 奈良県 - 和歌山県 - 鳥取県 - 島根県 - 岡山県 - 広島県 - 山口県 - 徳島県 - 香川県 - 愛媛県 - 高知県 - 福岡県 - 宮崎県 - 鹿児島県 - 沖縄県 市町村数:30市町村 - 北海道:札幌市 - 宮城県:仙台市 - 福島県:南相馬市 - 群馬県:前橋市 - 埼玉県:さいたま市 - 千葉県:千葉市 - 千葉県:船橋市 - 千葉県:市原市 - 神奈川県:横浜市 - 神奈川県:横須賀市 - 山梨県:北杜市 - 愛知県:名古屋市 - 大阪府:大阪市 - 大阪府:堺市 - 兵庫県:神戸市 - 兵庫県:姫路市 - 兵庫県:宝塚市 - 鳥取県:琴浦町 - 島根県:雲南市 - 岡山県:井原市 - 広島県:福山市 - 広島県:東広島市 - 広島県:廿日市市 - 愛媛県:松山市 - 福岡県:北九州市 - 福岡県:福岡市 - 佐賀県:佐賀市 - 宮崎県:都城市 - 沖縄県:那覇市 - 沖縄県:宜野湾市 ※2026年7月17日時点 #### 海外の行政関係機関等とのDX事例のナレッジ共有 行政のデジタル化という同じ目的を持つ海外都市や行政機関と、積極的に連携、事例調査、意見交換、視察の受け入れ等を実施しています。将来的により深い協働も視野に入れた交流を続けています。 - 海外都市・行政機関等 15か国・9都市 合計26件との連携・交流を実現 先進事例調査、意見交換、出張視察、視察の受入、講演登壇等を実施した件数 ※GovTech東京設立時~2026年3月31日までの累計交流数 - 主な実績 - アメリカ ワシントン州・カリフォルニア州:公共領域におけるスマートシティの取組、AI活用等に関する意見交換 - イギリス・ロンドン:都市間連携の強化、AI、データ利活用に関する意見交換 - オーストラリア:財務庁とGov CMSについての意見交換。Rule as Codeの調査 - シンガポール:最先端のサイバーセキュリティ施策に関する情報収集 - ブラジル マットグロッソ州:州知事の視察受入 - UAE アブダビ:自治体が提供するスーパーアプリに関する視察、自治体DXの支援団体との意見交換 - ソウルAI財団:協定締結に向けた協議 - チュニジア国立行政学院:視察受入、行政のデジタル化や組織づくりについてプレゼンテーション、意見交換 [画像:ロンドンの行政改革チーム・LOTI(London Office of Technology and Innovation)への訪問。事例共有や連携強化に向けた協議を実施(2025年11月)] [画像:LOTI視察受入、職員同士の意見交換会(2026年1月)] [画像:オーストラリア・キャンベラでOpen Fiscaのカンファレンスに出席。Rule as Code※や公共財について意見交換(2026年2月)※ 法や制度の定義をプログラミング言語で記述する技術・フレームワーク] [画像:UAEの政府主導組織「エミレーツ評議会」の来訪。都内区市町村間のDX格差是正などの取組について紹介(2025年9月)] ## 4 人的資本情報の開示 ### 経営戦略を支える人的資本開示の全体像 #### GovTech東京のビジョンを支える、行政DXの担い手「人的資本」 GovTech東京にとって人的資本とは、組織内部での活躍に留まらず、東京都・都内区市町村を含めた東京全体の行政DXを推進するための基盤となります。 本報告では中期経営計画で示した3つの観点において、人的資本が経営戦略の実行をどのように支えているかを示しました。 - 中期経営計画 2027年までに成し遂げたい3軸 - サービス品質の変革 「ダメなサービスを撲滅し、ダメなサービスを放置しない」を徹底 - 内製開発力の獲得 外注開発+内製開発のハイブリッド型に転換 - 持続可能な経営基盤の確立 サービス品質の変革や内製開発を持続的に進める経営の仕組みづくり - 経営戦略を支える人的資本アプローチ 1. 戦略を実行するための人的資本の充実 GovTech東京の戦略を内側から実行する力を高める 取組例:採用による人材構成の変化、スキルの可視化、育成投資 2. 人的資本を支える組織運営 GovTech東京の人材が力を発揮し続けるための基盤づくり 取組例:エンゲージメント、働き方・ウェルビーイング、組織知・ナレッジシェア 3. 連携による人的資本の拡大 GovTech東京職員だけではカバーできない知・経験・リソースの拡張 取組例:GovTech東京パートナーズ、都・区市町村との人材交流・派遣 ### 戦略を実行するための人的資本の充実 #### 人材構成の変化 設立からわずか3年で職員は15倍以上に。多様な人材が集まり、組織は急成長しています。当初は行政職員が中心でしたが、今では民間人材が6割近くに。行政DXと内製開発力を推進するため、エンジニア、UI/UXデザイナー、データアナリスト、プロダクトマネージャーといった即戦力のデジタル人材採用を積極的に行っています。 - 職員数推移 設立3年で15倍以上に拡大 | 職員数推移 | 2023.7.24 | 2025.4.1 | 2026.4.1 | |---|---:|---:|---:| | 民間 | 21 | 250 | 322 | 設立から3年で322人を達成。多様な人材が加わり、組織規模が急拡大しています。 - 形態別推移 ※契約職員含む 民間人材比率が59%まで増加 | 形態別推移 | 2023.7.24 | 2025.4.1 | 2026.4.1 | |---|---:|---:|---:| | 民間 | 1 | 119 | 191 | | 行政 | 20 | 131 | 131 | 行政職員中心の組織から変化し、民間人材が半数を大きく超えるようになりました。 - 職種別民間人材採用推移 ※契約職員除く | 職種別民間人材採用推移 | 2024.4.1 | 2025.4.1 | 2026.4.1 | |---|---:|---:|---:| | エンジニア、UI/UXデザイナー、データアナリスト、プロダクトマネージャー等 | 42 | 79 | 126 | | バックオフィス(人事、総務、経営管理、戦略広報等) | 4 | 14 | 21 | #### 行政×デジタルを推進する多様な人材 多様な人材の長所を生かして協働できる組織づくりを進めています。障害の有無や性別にかかわらず組織への貢献を評価し、公平にキャリアを築ける組織づくりをさらに進めていきます。 - 民間人材と行政職員の構成比 | 区分 | 割合 | |---|---:| | 民間人材 | 57.2% | | 行政職員(都派遣職員) | 35.0% | | 行政職員(区市町村派遣職員) | 7.8% | 2026年3月31日時点 - 職員年齢構成割合 | 年代 | 割合 | |---|---:| | 20代以下 | 12.4% | | 30代 | 35.0% | | 40代 | 35.0% | | 50代 | 14.7% | | 60代以上 | 2.9% | 2026年3月31日時点 - 障害者雇用率 2.9% 法定雇用率2.5% 2026年3月31日時点 - 職員男女割合 | 区分 | 割合 | |---|---:| | 男性 | 71.2% | | 女性 | 28.8% | 2026年3月31日時点 ※ 参考:情報通信業の女性の割合 30.8%(出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)」) - 管理職男女割合 | 区分 | 割合 | |---|---:| | 男性管理職 | 84.2% | | 女性管理職 | 15.8% | 2026年3月31日時点 ※ 参考:情報通信業の課長相当職以上の管理職に占める女性の割合15.0%(出典:厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」) - 男女の賃金差 男性職員を100とした場合の女性職員の賃金の比率 2025年度 | 区分 | 比率 | |---|---:| | デジタル人材・HR人材 | 85.8 | | 契約職員 | 91.6 | ※ 参考:情報通信業の男性を100とした場合の女性の賃金の比率81.8(出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」) ### 人的資本を支える組織運営 #### 内製開発拡大に向け、職員の専門性・スキルを可視化 行政DXを持続的に推進していくために、個々の職員が持つ専門知や経験を組織全体で可視化した上で共有・活用し、組織知として蓄積していくことが不可欠です。職員同士が分野や所属を超えて知見を共有し、相互に学び合う仕組みとして、ナレッジシェア(勉強会)の取組を推進しています。 ##### 職員からの高い関心を獲得。組織内交流の場にも 組織全体で職員の専門知・スキルの可視化に取り組んでいます。そのデータをもとに、適切な人材配置や育成につなげ、組織としての開発力強化を図ります。 さらに職員の専門知共有の場としてナレッジシェアを頻繁に開催しています。2025年度はナレッジシェア専用ポータルも開設しました。 ナレッジシェアには民間出身職員に加え、都派遣職員や区市町村派遣職員も参加しています。雇用形態や立場の違いを超えて知見が共有されることで、組織内部にとどまらず、東京全体の行政DXを支える人的ネットワークの形成にも寄与しています。 - スキルマップ(2025年度導入)に基づくデジタル人材のスキル可視化状況 レベル2:自立 レベル3:指導者 | スキル | レベル2 | レベル3 | |---|---:|---:| | プロジェクトマネジメント | 33 | 36 | | システム管理 | 39 | 14 | | 運用設計 | 38 | 15 | | システムアーキテクチャ | 32 | 19 | | ITストラテジー | 30 | 18 | | ユーザサポート | 34 | 11 | | クラウドサービス活用 | 29 | 15 | | サービスデザイン | 32 | 12 | | Webアプリ設計・開発 | 34 | 9 | | 業務系アプリ設計・開発 | 29 | 11 | | マーケティング | 26 | 12 | | データベース設計・構築 | 28 | 7 | | サーバ基盤設計・構築 | 27 | 6 | | UXデザイン | 20 | 12 | | サイバーセキュリティ | 22 | 10 | | UIデザイン | 22 | 7 | | ネットワーク設計・構築 | 17 | 11 | | データアナリティクス | 25 | 2 | | AIエンジニアリング | 16 | 7 | | システム監査 | 19 | 4 | | スマホアプリ設計・開発 | 17 | 2 | | データエンジニアリング | 18 | 0 | ※ 下記のうち、専門スキル保有状況を示す2・3のみを表示 | レベル | 名称 | 説明 | |---|---|---| | レベル3 | 指導者レベル | 高度な専門知識を有し、他者を指導できる | | レベル2 | 自立レベル | 応用知識を有し、独力で実践できる | | レベル1 | 要指導レベル | 基礎知識を有し、指導のもと実践できる | | レベル0 | 未経験 | 基本知識が無く、実践の経験もない(乏しい) | - ナレッジシェア2025年度の開催実績 | 項目 | 内容 | |---|---:| | 開催数 | 44回 | | 延べ参加者数 | 1,317人 | ※アーカイブ視聴者は除く 月平均4回ほど、継続開催をしています。例として以下のようなテーマを扱っています。 - 法解釈・法令の読み方講座 - 視覚障害者の生活とアクセシビリティ - AIを活用した、業務負担を減らすアプリの作り方 2026年3月31日時点 #### 職員の声とデータに基づく組織改善 職員一人ひとりの声に耳を傾け、対話とフィードバックを通じた成長を大切にしています。 年2回実施する組織サーベイでは、エンゲージメントや働きがいに関する項目を定点観測し、より良い組織づくりへとつなげています。 [図:サーベイ、フィードバック、討議の3つの要素が循環する組織改善サイクルを示す図。] - サーベイ - 組織・仕事・マネジメントに関することを広く聴取 - 全職員対象、年2回 - フィードバック - 全職員へ結果をフィードバック - オールハンズミーティングにて - 討議 - 経営主導でより良い組織をつくるための討議を実施 - 経営合宿にて ##### 2025年度改善取組例 在職中のキャリア形成に関する職員からの声を踏まえ、入職後フォローアップ面談、キャリア面談を2025年度下期から運用開始 ##### 組織サーベイ結果(主要項目を抜粋) | 項目 | 2024平均 | 2025平均 | |---|---:|---:| | 私は業務を通じてやりがいを感じている。 | 3.7 | 3.9 | | 私は仕事を通じて達成感を得ている。 | 3.5 | 3.7 | | 財団のミッションや目的に大きく貢献していると感じている。 | 3.4 | 3.6 | | 私は仕事を通じて成長している実感がある。 | 3.6 | 3.7 | | 私がやりたいことと今取り組んでいる仕事が一致している。 | 3.4 | 3.6 | | 私が担当する業務量は適切である。 | 3.3 | 3.4 | | 私が仕事で困ったときに同僚や上司に助けを求めやすい本部である。 | 3.8 | 4.1 | | 色々あるが総じてこの本部が好きだ。 | 3.7 | 4.0 | | あなた自身、GTTに来て良かったと思いますか?(2025年度下期から新規設問追加) | - | 4.0 | | 知人や友人にGovTech東京を勧めたいと思いますか? | 3.3 | 3.4 | ※各項目は5点満点で評価 #### チャレンジを支えるウェルビーイング 柔軟な働き方を可能とする様々な制度の活用を推進し、職員のライフステージにかかわらず誰もが健やかに働ける環境づくりを進めています。各種制度については、職員のニーズを踏まえながら、適宜見直し・改正を行っています。 - フルフレックス適用職員割合 100% 2026年3月31日時点 - リモートワーク実施率 39.7% 集計対象期間:2025年4月1日~2026年3月31日 - 複業実施率(在職中に複業を実施した職員の割合) 37.5% 財団の職務にフルコミットできることなどを条件に、複業を広く認めている。2026年3月31日時点 - 年次有給休暇(年度あたりの平均取得日数) 14.0日 集計対象期間:2025年4月1日~2026年3月31日 - 夏季休暇(年度あたりの平均取得日数) 4.9日 年次有給休暇とは別に、年5日分の夏季休暇が取得可能 集計対象期間:2025年6月1日~2025年10月31日 - 男性育業取得率 100% 配偶者の出産から1年以内に育児休業等を取得した職員を含む 集計対象期間:2025年4月1日~2026年3月31日 - 平均残業時間 月23.0時間 集計対象期間:2025年4月1日~2026年3月31日 ##### 2025年度の制度改正例 - 職員の育児と仕事との両立を支援する観点から、子どもの看護休暇の取得事由に式典参加や学級閉鎖等を追加 - 夏季休暇の取得期間を「6月1日から10月31日まで」に拡大 ### 連携による人的資本の拡大 #### 東京全体の行政DXを支える、GovTech東京パートナーズ 職業での自治体就労を希望する専門性の高い人材に登録いただく仕組みを構築し、都内区市町村とのマッチングを図る人材の共同化を推進。今後、労働力人口が減少する中でも、GovTech東京がハブとなり、デジタル人材を継続的に行政へ輩出していくことで、東京全体の行政DXを支えることを目指します。 GovTech東京パートナーズ 専門スキルを持つ民間の複業人材と都内区市町村の課題をマッチングする人材紹介サービス「GovTech東京パートナーズ」を運営しています。 - 登録者数 1,086人 区市町村のDXを支える多様な人材が登録 サービス開始以降、複業での自治体就労に意欲的な専門人材が多数登録。登録者は、エンジニア、広報、UI/UXデザイナー、ITコンサルタント、データアナリスト、人材開発・組織開発等、デジタル人材を中心に多岐にわたります。 - マッチング事例 - 台東区 プロジェクトマネージャー - 稲城市 広報・PR - 多摩市 AIエンジニア 課題に応じた、実践的なDX支援を展開 エンジニアやデザイナー等の専門人材が、各区市町村のDXを現場でサポート。戦略策定からシステム開発、UI/UX改善まで、区市町村ごとの課題に応じた実践的な支援を行っています。 2026年3月31日時点 #### 区市町村職員の派遣経験を将来に生かすネットワーク構築 デジタル人材の育成や、GovTech東京と区市町村の相互理解と協力をより深め、東京全体のDXに寄与することを目的に、GovTech東京では区市町村職員の派遣を受け入れています。派遣期間修了後の職員を「アルムナイ(卒業生)」と位置づけ、GovTech東京や現在派遣されている職員と相互につながり続けることで、派遣経験を将来にわたって生かす環境づくりを進めています。 ##### 「人」と「情報」をつなぐアルムナイネットワーク (2026年度開始予定) [図:アルムナイネットワークの概念図。中央のGovTech東京を軸に、現派遣生と元派遣生(アルムナイ)が情報共有・交流でつながる関係を示す。] - 累計派遣受入職員数 46人25自治体(都外自治体を含む) 区市町村の派遣職員はGovTech東京の各部署に配属され、様々な業務を経験。派遣期間修了後の職員は、帰任した区市町村でそれぞれ活躍しています。 集計対象期間:2024年4月~2026年4月